私が勤める有料老人ホームで虐待が発覚しました。
ふー…正直ショックです。
これはクローズドな環境じゃないとシェアできないな…と思ったので、サロンというこの場を借りてシェアします。
単純に「虐待はダメ!」とかそういうことではなく、自分ごととして理解するためにも言語化しておきたい。
そんな気持ちです。
発覚までの経過と、本人との面談、そして感想をまとめます。
発生から発覚まで
元々、忙しく余裕がなくなると口調が強くなったりするスタッフKさんがいました。
半年くらい前にその件で一度面談をしています。
4月17日(水)朝礼で夜勤からの申し送りを聞く機会があり、そこでKさんが「Nさんが夜間になかなか寝なくて…」と話していた。
朝礼後、同じ夜勤スタッフから「たまたま聞いたKさんの声かけが威圧的に感じて…」と相談を受けます。
4月から導入している「見守りカメラ」…
まさかね?と思って録画機能の動画を確認した。
居室内で人が動くと感知する設定にしており、音声は聞こえなくとも行動は見えるのです。
すると、ベッド柵を左手で掴み端座位姿のNさん。そのNさんのベッド柵に掴まる手を掴み、同時に右肩を押すようにしてベッドにNさんを寝かそうとするKさん。
そして、その手を払いのけて抵抗するNさんの姿が映っていました。
わかりやすく言えば、寝たくない高齢者を無理やり寝かそうとして、抵抗されている職員。
そんな映像でした。
本人との面談
4月19日(金)にそのスタッフを呼び出し、介護長と管理者(私)の3名で面談を実施。
本質からズレないように慎重に話しを進める。
動画の事実について確認すると「確かに寝てほしいと思って対応しました。促すつもりでやったんです(優しく押す動作をしながら)」と説明するKさん。
その他「叩いたりはしていない、ちょっと促すつもりで押しただけで…」等の言い訳を繰り返す。そこで介護長からの一言。
「それは、入居者さんのためになっていると思いますか?」の問いに、言葉に詰まるKさん。
しばらくの沈黙の後、「私が寝てほしいと思った一心でやってしまったことだと思います」と。
状況を聞くと、別の認知症の方も落ち着かない様子で、対応に余裕がなかったと話していました。
話しとしては理解できました。
しかし、虐待防止の指針に照らし合わせても容認できる内容ではありません。
夜勤という働き方からは外れてもらうようお伝えしました。
この流れまで、私は一言も喋らない状況でした。
介護長から最後に「管理者から何かありますか?」と言われます。
私からは「家族の信頼に応えられていない出来事だったと考えると、穏やかにこの話しを終えることはできない。絶対に裏切ってはならない期待を裏切ったと思っている。」と伝えた上で、日勤帯の勤務で力を貸してほしいと伝えました(かなり省略しています)
※私、この利用者さんとは前の施設からの付き合いで、息子さんの想いも理解しているし、本人の認知面の低下も目の前で見てきているので…ほんと辛くて、面談の最後は不覚にも泣いてしまった…。
感想
ここからは今回の出来事で感じた個人的な感想です。
- 介護って精神労働なんだと改めて思いました
他者の対応が重なったりして、リスクを取りながら働かなくてはいけない。相手のためを思ってやっていても、理解されない。時には強く当たられて「なんで…」と思うこともある。
人を思う気持ちは人それぞれだから、職員同士の想いに相違があったり、会社との考えに相違があったり…
色んな葛藤の中で、働かなくてはいけない。
どんな仕事ももちろん大変だけど、相手の都合で日々の大変さが変わるという意味では、他職種とは比べられない大変さがあるように思います。
- 向き不向きがある
その大変さに耐えうるスキルは必須ですよね。
これはスキルが足りないというより、向き不向きだと思いました。
大変なときこそ冷静になれる精神面。
思い通りにならない時に論理的に考える思考力。
仲間に頼れる信頼関係の構築。
などかな?と考えています。
訓練ももちろんできると思いますが、一定の素質は必要ですよね。
今回のスタッフには以前にも近い指導をしたことがあったので、やっぱりそういうことなんだなって思いました。
- それでも一緒に働く覚悟
このような出来事があったとしても、その人の働き方を見出して一緒に働く覚悟も必要だと思います。
向き不向きで人を選べるほど、今の介護業界は人材がいません。
仮にこのスタッフが退職して、次に入ってくるスタッフが向いている人かはわかりません。
仕事を教えた矢先に辞めるかもしれない。そんなリスクを抱えるくらいなら、向き不向きを理解した上で一緒に働く道を模索した方が建設的だと、私は考えています。
これは賛否両論かもしれませんけれど…
というわけで、直近の仕事の報告でした!
気分悪くされた方がいたら大変申し訳ない。
何か思ったことやアドバイスいただけたら幸いです!